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A02 大川班

高転写状態解明に向けた空間マルチオミクス解析技術の開発

幹細胞は、特定のヒストンバリアントを取り込むことで特異的なクロマチン構造を形成し、通常の体細胞より全遺伝子の転写活性状態が極めて高いHypertranscription(高転写状態)にある。中でも成熟卵母細胞、精原細胞の胚性前駆細胞である始原生殖細胞の解析は最も先駆的に行われている系の一つである。高転写状態は、初期発生時の爆発的な細胞増殖や多系統への分化に不可欠と考えられているが、その分子機序はいまだ不明である。高転写状態がもたらす遺伝子発現の“量的”制御の解明には、従来の転写因子による遺伝子の選択機序に加えて、クロマチン構造の形成による転写量制御から、タンパク質の発現まで包括的に理解する必要がある。一方で、本解析には以下の二つの技術的な壁が存在する。一つは、高転写状態の細胞を判別するため、組織内の細胞を単一細胞レベルで解析する技術の開発であり、もう一つは、トランスクリプトーム、エピゲノム、そしてプロテオームまでを包括的な同時計測法の実現である。そこで、本研究では、高転写状態の始原生殖細胞をモデル系として、上記困難を打開する新規技術開発を行う。エピゲノムに加えて、内在性のRNA、更に任意のタンパク質を同時測定可能な技術の開発、測定を行うことで高転写状態におけるクロマチン構造制御から翻訳までの包括的な遺伝子発現制御機構の解明を目指す。

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図:本研究提案での技術開発:
組織切片上で、プロテオーム・エピゲノム・トランスクリプトームを順に単一細胞レベルで測定することで同一細胞内の共起情報の取得を実現する。本解析により高転写状態にある細胞の判別、細胞間相互作用、あるいは分泌因子の分布等多面的なデータの同時測定を実現し、機序解明に資すデータ取得を目指す。

研究組織
主要論文

大川 恭行

  • Handa T, Harada A, Maehara K, Sato S, Nakao M, Goto N, Kurumizaka H, Ohkawa Y*, Kimura H*.

    Chromatin integration labeling for mapping DNA-binding proteins and modifications with low input.

    Nat Protoc. 2020 15(10):3334-3360.(2020)

  • Harada A, Maehara K, Handa T, Arimura Y, Nogami J, Hayashi-Takanaka Y, Shirahige K, Kurumizaka H, *Kimura H, *Ohkawa Y.

    A chromatin integration labelling method enables epigenomic profiling with lower input.

    Nat Cell Biol, 21(2):287-296.(2019)

  • Harada A, Maehara K, Ono Y, Taguchi H, Yoshioka K, Kitajima Y, Xie Y, Sato Y, Iwasaki T, Nogami J, Okada S, Komatsu T, Semba Y, Takemoto T, Kimura H, Kurumizaka H, *Ohkawa Y.

    Histone H3.3 sub-variant H3mm7 is required for normal skeletal muscle regeneration.

    Nat Commun, 9(1):1400. (2018)

  • Semba Y, Harada A, Maehara K, Oki S, Meno C, Ueda J, Yamagata K, Suzuki A, Onimaru M, Nogami J, Okada S, Akashi K, *Ohkawa Y.

    Chd2 regulates chromatin for proper gene expression toward differentiation in mouse embryonic stem cells.

    Nucleic Acids Res, 45(15):8758-8772. (2017)

  • Maehara K, Harada A, Sato Y, Matsumoto M, Nakayama KI, Kimura H, *Ohkawa Y.

    Tissue-specific expression of histone H3 variants diversified after species separation.

    Epigenetics Chromatin. 8:35. (2015)

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